自然と子どもを守る会

日照

「影がないといいけど、影が出るのは仕方ないかな」と思う方が多いと思いますが、この港区、渋谷区、品川区で大きな庭のあり、陽が燦々と差し込むお宅に住んでいる方は少ないと思います。マンションや戸建て住宅でも窓から隣の家を見ながら住んでいる人が多いのではないでしょうか。

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都心は何より利便性に優れており、建物が集中して建っており、マンション価格もうなぎ上りです。自然教育園、庭園美術館の緑を眺められる高層マンションに住むのはステイタスになっているかのようです。恵比寿や渋谷がどんどん開発されている中で、目黒はあまり高層マンションもなく、小さなビルが沢山立っていたエリアでしたが、今この周りにどんどんマンションやビルが建てられようとしています。小さなビルをまとめて開発し、高層化すればお金のなる木になるからでしょうか。

目黒駅前開発はもともと都バスの駐車場で広い敷地を「都の財源を還元すべき、再開発すればすごいお金になる」ということで始まった計画です。10年前に、再開発準備組合が立ち上がり、最初に幼稚園に挨拶にみえた際、準備組合の事務局長は「建物は立つけれど、影は一つも落としませんからご安心を」と言っていました。ところが、その数年後に出された計画案は、「冬の一時期は影が結構かかってしまいます」というものでした。

本当はみんなが遠慮して低い建物を建ててくれて、地下水もちゃんと流れて、どんどんこの自然が豊かになってくれるのが望ましいのです。建物基準法では、冬の冬至の周辺の時期に太陽の日差しを浴びることが最も重要であるとして建物の日陰を規定しています。理論的にはそれで完全に冬の間が日影になる場所はなさそうですが、複数の建物が少しずつ影をもたらすことで、冬の間に陽がほとんど射さない場所が生まれてしまうことがあるのです。幼稚園としては、既存日影(ほかの建物がつくっている影を全部合わせた影のこと)の中に、新しい再開発の建物の影もおさめて欲しいとお願いをしてきました。他の建物の影で、すでに黄組園舎の前の日差しが確保できなくなっていた中、新たに新しい建物で北の園庭にも影がかかってきてしまうのは、幼児教育を進めるうえで、本当に困ってしまうからです。

冬の園庭は雪が降ったり、雨が降ったりするとドロドロになります。園庭の水はけをよくして水を地下に還元したいのですが、雨や雪は子どもたちが小さくとんとん踏みしめている土には染み込まず、霜柱になり、溶けてぐじゅぐじゅのままになります。近隣建物の影ができる前はそんなことはありませんでした。冬は寒いので子どもたちは日差しを求めて北庭の段々山の日が当たるところに集まっています。そういう姿を見て、なるべく日影を少なくするように努力をしてきました。1日1−2時間の影は建築基準法では問題ないのですが、色々な建物が集まって影だらけになっているので、なんとかそれを抑えて下さいと、開発側に申し入れ、みんなで勉強しながら尽力しているのがこの会の活動です。