自然と子どもを守る会

地下水

もともと自然教育園周辺は地下水が豊富で井戸や湧き水もたくさんありました。東京の都心にありながら他には見られない特殊な植物の群生が自然教育園には残っており、それ故に自然教育園全体は国によって天然記念物に指定されています。自然教育園がこのような状態で残ってきたのは、あるがままの自然を大切にし、守り、自然と共存してきた人々の思いがあったからに他なりません。

tikasui

 

参考資料「地下水とは何か?」

以前、実行委員会では「地下水とは何か?」との勉強会を開きました。専門的な内容も含まれますが、地下水の大切さを知ることで実行の活動を知るきっかけになる為、過去の資料を抜粋し添付します。

水の循環

地表に降った雨水は次のようなコースをたどります。

1)   地表を低い方へ流れ、川へ入る。

2)   地中にしみこむ。大部分は地下水となってゆっくりと低い方へ移動し、池・沼・川などに入る。(より深いところの地下水となった物は長い間そこにたまる。)

3)   川・湖・沼・池・貯水池・水路・海などの水面から、また地下水が毛細管現象によっ昇して地表面から蒸発し、大気中に逃げ、雲、雨、雪などとなって地表に戻る。

このサイクルの途中で水は生活用水・飲料水・工業その他各種用水として利用される。

地下水の保全

降水のうち地下にしみこむものの割合は、

  森林:35%  25%が地表を流れ去る
  芝生:10%  50%が流出
  舗装道路:  100%が流出

地下にしみこんだ水は、木の根があるとその周りにも貯えられます。しかし植物がなければ、低い方へ流れたり、蒸発する割合が高くなります。森林が天然の貯水池です。

木々が伐採された山腹は、地表面を流れ下る水が多くなり、斜面が激しく浸蝕され、土砂の混じった水が川に流れ込み、中・下流で洪水をおこしやすくなります。田・畑・野原・林が住宅地に変わった都市の河川が、少しの降雨ですぐに氾濫するのも同じような原因です。

地下水層とは

地層には、かたくて隙間のほとんどないものと、やわらかくて(かたい場合もあります)隙間の多いものがあります。前者をゴムの板、後者をスポンジに例えます。

地表からしみこんだ水は、ゴムの板の上にのっているスポンジの中に留まります。これが地下水層です。もし傾斜していれば、水はスポンジの中を低い方へゆっくりと流れます。このスピードは思いのほか遅いものです。

浅い地下水層は、雨が降れば量が増え、晴天が続けば毛細管現象により土壌の隙間を通って地表近くの植物の根のまわりを湿らせ、一部は地表面から蒸発します。ゴムの板(粘土・かたい岩石などの層)の割れ目からもれた水は、さらに深い所で地下水層となります。この層は水質も良く、降雨・晴天による水位の変化も少ないのですが、人間や植物に関わりの深いのは、浅い方の地下水です。

地下水層の水もれ

スポンジを透水層、ゴムの板を不透水層と呼びます。地下水層を支えている不透水層(ゴムの板)に大きな穴や割れ目ができると、地下水は下の方へもれてしまいます。建築工事の為のボーリング・杭打ちなどは大きな穴をあけることです。地下鉄工事に至っては、不透水層の一部をそっくり削りとってしまうことなのです。

地下鉄や地下道は常にポンプで水を汲み上げており、停電すると水浸しになってしまうのは、断ち切った地下水層から流れ出る水量の多いことを示しています。

開発と自然

開発とは、われわれ人間の生活を便利なものにする為に、自然のバランスを破壊することにつながっています。下水道が完備すれば地下水は減ります。灌漑用水路がコンクリートで固められ、排水はすべて下水道から海に捨てられるようになれば、地下水の供給源が減ってしまいます。

人間にとって必要な「自然の営み」を守るために、大人である私たちも自然と触れ合う機会を増やし自然の大切さを再確認し、木や草やきれいな空気、豊かな水を絶やさない努力が求められています。